今さら聞けない!事業計画書とは?目的や書き方のポイントを解説

事業計画書は、事業の内容を説明すると共に、その計画を達成するための戦略を記載したものをいいます。会社を始めるときに役所に提出する必要はないですが、実はとても大事です。なぜなら、安定した事業運営や成長のために、自分のビジネスプランやお金の計画をきちんとまとめる必要があるからです。
また、ちゃんとした事業計画書があると、「この人なら大丈夫そうだな」と思ってもらえ、投資や融資を受けるときもすんなり事をすすめることができます!しかし、どうやって書けばいいかわからない人も多いと思います。今回は、事業計画書の目的や書き方のポイントについて詳しく解説します。
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事業計画はなぜ必要?

事業計画書は、将来のビジネスの方向性や目標を明確にし、投資家や銀行などへの説明材料となります。例えば、飲食店を開く場合、1店舗だけ経営するのか、それとも複数展開するのか、どこに出店するか、何を提供するか、お金はどうやって調達するかなど、考えるべきことがたくさんあります。そんなときに必要なのが事業計画書です。また、計画書を作成する事でリスクを見極め、戦略的な判断を行いやすくなります。

投資家に対するプレゼン

既存の資源を活用して新規事業を拡大する戦略を示す必要があります。適切な判断材料を備えた計画書は、ビジネスの意思決定者に対して説得力を持ち、「これに投資する価値がある」と認識される資料となります。融資や出資の際にも事業計画書が不可欠であり、その現実的な損益見込みや資金計画、サービスの特徴、市場状況への理解が成功の鍵となります。

ビジネスビジョンの明確化

企業がどの方向に進むべきかを示し、組織が共通の目標に向かって働けるようにします。また、どんなに良いアイデアを持っていても、頭の中だけで思い描いてうまくいくことは少ないでしょう。事業計画を作成することで、改めて自分のアイデアを整理し、まとめることができます。

事業計画書の基本構成

事業計画書の基本的な構造は下記のとおりです。
【参考】事業計画書とは?書き方のポイントをやさしく解説

目的と概要

なぜこの事業を行うか、誰に、何を、どのように提供するかを具体的に記述し、自社のミッションや強み、顧客のメリットを強調します。この箇所で事業の意義や将来の達成予定を明確にし、情熱を伝えると、資金調達にも寄与しやすくなります。
たとえば、
【誰に】40~50代の日本人男性に
【何を】高品質な和風家具を提供できるインテリアショップを
【どのように】京都の伝統的な町並みに溶け込むような和風建築で展開する
と羅列するだけでも、何を目的に、どんなことをやろうとしているのかがイメージできます。事業によっては、言葉だけで伝えるのが難しい場合があります。その場合は、図に落とし込むと分かりやすくなります。

マーケット分析

競合他社の存在は無視できず、ビジネス成功において競合との差別化が不可欠です。事業計画書の作成では、競合のサービスや商品を分析し、独自性を打ち出すことが重要です。真似できない仕組みの導入は強みであり、競合が出現した場合の対策も計画書に組み込むべきです。マーケットの状況や競合他社との違い、自社の強みと弱みに焦点を当てた分析は、事業の差別化に有益であり、計画書に明確に伝えることが必要です。

サービスや商品の概要

特に主力アイテムに焦点を当て、その機能や特徴だけでなくユーザーにもたらすメリットや競合差別化を強調します。継続的な提供の安定性を示すため、仕入れ先や外注先に具体的に触れることも重要です。

財務計画

財務計画は、事業のお金に関する計画で、「資金計画」「収支計画」などが含まれます。これは事業の持続可能性を判断するための重要な指標であり、予測数値は信頼性のあるものを用います。資金計画は創業に必要な資金を整理し、収支計画は事業の将来の見通しを考慮します。

事業計画書の書き方

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事業計画書には、決まったテンプレートがありません。そのため、フォーマットによって記入項目やボリュームは変わりますが、主に以下のような内容で構成されます。
・事業概要
・会社や経営者の概要
・事業の目的・内容(ビジネスモデル)
・マーケット分析
・マーケティング戦略
・リスクと対策
・財務計画
・プロジェクト管理
効果的な事業計画を作成する際の注意点として以下の3つが挙げられます。
【参考】事業計画書の書き方|作成する目的や用途をわかりやすく解説

具体的な目標設定

目標設定の指標は2つあり、数値や数量で表す「定量目標」と、実績や成果に表れない部分を言葉で表現する「定性目標」があります。

定量目標は、誰から見ても基準が明らかなものになります。
具体例として、
・顧客数を1年間で500人増やす。
・新製品の販売目標を1年間で10,000個達成する。
・マーケティングキャンペーンによりウェブサイトの訪問者数を1ヶ月で30%増加させる。

定性目標は、質的な要素や状況の改善に焦点を当てます。
具体例として、
・ブランドの認知度を向上させ、市場での知名度を高める。
・新製品の革新性や独自性を強化し、競合他社からの差別化を図る。
・顧客との関係を強化し、ロイヤルティを築く。
・環境への配慮や社会的責任の実践を通じて、企業の持続可能性を向上させる。

現実的な収益予測

投資家や銀行などから資金を調達する際には、将来の収益性を示す必要があります。現実的な収益予測がないと、資金提供者が事業の成功見込みを評価することができません。また、現実的な収益予測を行う事で、必要な資源(人材、資金、設備など)を適切に配分し、最適な活用を図ることができます。これにより、無駄な投資を避け、効率的な事業運営を実現します。

現実的な収益を予測するために、顧客のニーズや需要の動向を把握し、製品やサービスの需要、市場の規模、成長率、競合他社の存在などを調査し、これらの要素を総合的に考慮することが大切です。その際、繁忙期や閑散期等の業種特性も加味しながら予測すると良いです。

リスク管理

リスクの認識と評価を行うことで、潜在的なリスクを理解し、その重大性や発生確率を把握できます。そして、対策の検討を通じて、リスクを軽減または回避するための具体的な行動計画を立てることができます。さらに、投資家やパートナーにリスクについて透明性を提供することで、信頼を築くことができます。また、リスク管理は戦略の改善にも役立ちます。リスクが明確になることで、より効果的な戦略の策定や実行が可能となります。リスク要因は、社内・社外それぞれ分けて考えると良いです。

事業計画書の作成に困ったとき

事業計画書を作成するうえで、根拠のある数字を並べたり、財務計画の予測を立てたりすることは専門的な知識がなければ非常に難しく、なかなか作業が進まないことがあるかもしれません。事業計画書の作成に困ったときは、ギグワークスクロスアイティにお任せください。
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この記事を書いた人

ビジネス・テクノロジスト 貝田龍太