FAQとはよくあるお問い合わせを集めたQ&Aです。その有用性からインターネットのサービスサイトや商品説明書などで利用されることが増えています。FAQはお客様向けのツールに見られがちですが、企業においても情報共有手段として有効活用できます。もちろんそれはコールセンター業務においても例外ではありません。使い方次第では、コールセンター業務の負担軽減や顧客満足度アップにも期待ができる優れたツールですので、特性を理解し実際の活用に結び付ける必要があります。
FAQやそのシステムに対する理解を深め、作成や活用方法、システム導入のポイントについて見ていきましょう。
FAQの意味や成り立ちについて
FAQはインターネット上の商品やサービスページなどでもよく見かけます。お客様の疑問に答える「FAQ」の意味や始まり、Q&Aとの違いについて確認していきましょう。
FAQとは?
FAQとは「Frequently Asked Questions」の略で直訳すると「頻繁に聞かれる質問」という意味です。日本では「よくあるお問い合わせ」などと訳され、説明書やインターネット上のサービスページなどに掲載されています。電話で問い合わせる前に、お客様が自分で調べ疑問を解決するための便利なツールです。
FAQが現在の形になるまで
マーク・ホートン氏がアメリカの「Usenet」というニュースグループに多く寄せられる同じ質問への対応策として、グループのページに回答を掲載したことがFAQの始まりです。1983年にはユージン・ミヤ氏が、月に一度のメール配信に新しいお客様に向けた簡単なQ&A集を掲載し、1983年11月1日にジェリー・シュワーツ 氏が現在の「FAQ(Frequently Submitted Items)」という形にまとめました。FAQは、同じ質問をする大勢のお客様に対し、より効率的な対応方法を考えた末に生まれたアイデアだったのです。
【参考】「Frequently Asked Questions (FAQ) History」
FAQとQ&Aの違い
一方、Q&Aは「Question and Answer」の略で「質問と答え」と訳されています。FAQとQ&Aはどちらも、商品やサービスなどの疑問点を解決する、一問一答形式の便利なリストです。2つの違いは、FAQが消費者から頻繁に寄せられる質問とその答えであるのに対し、Q&Aはサービスや商品の提供者が想定したお客様からの質問とその回答である点です。また、FAQがより厳選されたリストであるのに対し、Q&Aは想定される全ての質問が網羅されているため情報量が多い傾向にあります。しかし、この2つは明確に分類されているわけではありません。
コールセンターとFAQ
作りこまれたFAQを活用することで、オペレーターの負担を減らし、コールセンター業務を効率化させることが可能です。FAQとコールセンターの関わりについて見ていきましょう。
FAQ活用がもたらすコールセンターへのメリット
お客様自身によるFAQの活用で、電話での問い合わせを減らし、オペレーターの負担を軽減させることが可能です。電話応対時にオペレーターがFAQを活用することで、お客様の問い合わせに迅速かつ的確に答えることができるようになるため、応対時間を短縮し、顧客満足度向上につなげることも不可能ではありません。
コールセンターにおけるFAQの作成ポイント
FAQを作成する際は「適切で必要な回答がある」「情報の探しやすさ」「回答のわかりやすさ」を意識することが重要です。そのためには、数ある問い合わせ内容を精査・分析し、お客様が抱える疑問を把握しておく必要があります。
また、情報を検索しやすくするため、カテゴリーやキーワードを組み込むなどの工夫をしましょう。そして、専門用語などの難しい言葉の使用を避け、誰が見てもわかりやすい言葉で記載します。
作成後は第三者によるシミュレーションを行ったり、必要に応じて適宜内容を更新するなど、運用しながら充実させていくことが肝要です。
コールセンター向けFAQシステムとは
コールセンター業務の効率化にFAQの活用は欠かせません。コールセンター向けのFAQシステムには、どのような機能やメリット・デメリットがあるのか確認していきましょう。
FAQシステムの機能
CRMやCTIなどの各種システムと連携させることで、FAQシステムを電話応対のサポートとして利用することが可能です。FAQシステムの多くは日本語に強い検索エンジンを搭載しており、表記の揺らぎがあっても的確に必要なFAQに到達することができます。また、閲覧順や最新順、関連順、検索サジェストといった多彩な検索機能、オペレーターに合わせたカスタマイズ機能、さらには応対後の事務処理短縮機能などを利用することで、コールセンター業務の効率化が実現できます。FAQ管理機能が充実しているシステムを選べば、FAQの新規作成や編集がオペレーター単位で簡単に行えるため、より迅速にFAQを向上させることができるでしょう。
FAQシステム導入のメリット
一番のメリットは電話応対時間の短縮です。FAQシステムを利用することで、お客様への回答率やスピードが上がり、その場で伝えられるようになります。すぐに回答を得られることでお客様も満足し、オペレーターの負担を軽減させることが可能です。また、オペレーター教育という観点からもFAQシステムは大きなメリットがあります。システム内にある様々な情報を簡単に検索できるため、経験の浅いオペレーターでもFAQを見ながら回答できます。オペレーターへ自己学習を促すことで、SVへの質問を減らし、新人教育の負担を減らすことができるでしょう。さらに、オペレーターによる回答の相違を減らし、対応を統一させることで、お客様に安心感や信頼感を与えられます。
FAQシステム導入のデメリット
FAQシステム導入は、コストや手間がかかるうえ、作成する際はFAQに関する知識が求められます。また、社内にFAQの必要性を認識させ、オペレーターが正しく活用していくための教育も大切です。FAQは作ったら終わりではありません。実際の業務に即したFAQとなるよう、毎日の業務を通じ、適宜メンテナンスが必要です。
FAQシステムの活用で応対品質の向上を!
FAQはお客様だけのものではありません。コールセンターで活用することで、オペレーターがお客様の問い合わせに早く的確に答えることができるようになり、顧客満足度を向上させ、オペレーター自身の負担を減らすことが可能です。FAQシステムの導入には、コストや必要な情報を落とし込む手間がかかりますが、応対時間の短縮や顧客満足度の向上など多くのメリットをもたらします。
コールセンターの応対品質向上や業務効率化、新人教育の負担に悩んだら、FAQシステム導入を検討していきましょう。