コールセンターマネジメントで最重要ともいえる顧客満足度の向上。顧客満足度を高めるには「感動の提供」が必要とついつい考えがちです。しかし顧客が実際に感じる満足は、感動体験ではなく「手間や不便がないサービス」だという調査結果があることをご存じでしょうか。いかに顧客の負荷を少なくするかがこれからのサービス提供の重要なポイントになるのです。
前回はコールセンターのエフォートレス体験についてご紹介しました。2 回目となる本記事では、顧客の負荷を知る指標CES(カスタマーエフォートスコア)について詳しく解説します。
顧客の努力を表すCES(カスタマーエフォートスコア)
サービスを利用する際にどの程度努力が必要だったか
エフォートとは「努力」や「尽力」という意味をもつ言葉です。CES(カスタマーエフォートスコア)は、顧客が何らかのサービスを利用した際に、どの程度の努力が必要だったかを表す指標のことです。
「面倒くさい」「不便だ」「手間がかかる」など、顧客自身がどれほどの負荷や負担、努力をしないと利用できなかったかを知るための指標ということになります。
顧客は、わかりやすく、見やすくて手間がかからない、使いやすいサービスを好むのは当然のこと。このエフォートレス体験を増やし、努力や負荷を減らすことが求められます。また、期待以上のサービスより、エフォートレスなサービスを提供されたほうが顧客のロイヤリティは上がりやすいこともわかっています。
リテンション率と相関性が高いCES
顧客満足を測定する指標のひとつにNPSがあります。NPSとは「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略で、顧客ロイヤルティや企業への愛着を測る指標です。
NPSが愛着を測るのに対し、CESは努力や負荷を測る指標であり、反対の意味をもつイメージです。CES(カスタマーエフォートスコア)は、顧客の努力や負荷を数値化した指標です。
CES(カスタマーエフォートスコア)はリテンション率(顧客の維持率)との相関性が高いと言われています。面倒くさい、使いにくいと感じているサービスが、解約につながりやすいのは当然です。
CES(カスタマーエフォートスコア)の計測のしかた
サービス利用直後のアンケート
カスタマーエフォートスコアは、顧客がサービスを利用した直後のアンケートで収集する方法が一般的です。顧客体験の記憶が新たなうちにアンケートに回答していただくことによって、より正確で率直なご意見や感想を知ることができるからです。
サービス利用を開始した直後や、利用して間もないころなど、タイミングを見計らってアンケートを収集しましょう。
コールセンター利用者を対象とするアンケートは有効も有効です。
しかし、顧客がアンケートに回答することそのものを「面倒だ」と感じてしまってはCES(カスタマーエフォートスコア)として本末転倒になってしまいますので、実施方法や設問には慎重さが必要です。
7段階のアンケートが一般的
アンケートの質問は、簡潔な短い問いにしましょう。「当社のサービスについてどのように感じましたか?」など、考えなければ答えられないような問いかけは避けましょう。全体の傾向をつかむことはできる可能性はありますが、顧客にとって回答することがストレスになってしまう可能性があります。
CES(カスタマーエフォートスコア)を測る一般的なアンケートは「全く努力しなかった」から「非常に努力した」までの7段階とする方法です。また、NPSのように 0 ~ 10 までの11段階とする方法もあります。
ただし、アンケートは回収率が低い場合には回答に偏りが生じてしまう可能性がありますので注意が必要です。また、誘導的な設問は回答にバイアスをかけてしまうこともあります。このような問題を回避する方法として、サービス利用状況のモニタリングなどから、問題のありかを特定するやりかたもあるでしょう。
継続的な収集とブラッシュアップのサイクル
アンケートを自動化しよう
CES(カスタマーエフォートスコア)の収集は、自動化する仕組み作りが重要です。全ての顧客に対して同じ条件下で実施することで、精度が高まります。統計データとして平均が「ゼロ」となるようにする「標準化」ができると、データとしての制度が高くなるのです。それだけではなく、収集の工数を削減できることも自動化の大きなメリットでしょう。
最近はSMSでのアンケート実施も増えてきました。SMSでのアンケートなら顧客にとっても回答しやすいのではないでしょうか。
繰り返し測定すること
CES(カスタマーエフォートスコア)は、一度きりではなく、繰り返し測定する必要があります。顧客が自社の商品やサービスに対して、どこのポイントでどのような不満や負荷を感じているのかを把握し、常に改善するサイクルを続けることが重要です。
リテンション率を向上させ、顧客の離脱を招かないためにも、常にCES(カスタマーエフォートスコア)を注視し、改善に取り組んでいくことが大切なのです。
CES(カスタマーエフォートスコア)を改善するには
サポート手段を複数用意する
顧客が不明点を抱えたときや、操作方法に迷ったりした際、さまざまなサポート方法の中から、顧客の状況に合う方法を選べるようにしておくことが重要です。
メールでのサポートでは、返信までの時間がわからず不便に感じる場合がありますし、込み入った内容であれば電話で話すほうが便利だと感じることもあるでしょう。また一方で、電話では構えてしまうと感じる顧客も少なくありません。
メール、電話、チャットなど、複数のチャネルを用意することで、顧客は自分に合った問い合わせ手段を選択でき、ストレスの軽減につながります。チャットボットの設置などの無人対応を充実させておくことも重要です。24時間いつで解決に導くことで、顧客の負荷を軽減します。
自己解決できるようにする
顧客自身が問題を自己解決できれば、問い合わせをする必要がなくなります。そのためには、FAQを充実させ、セルフサービスでの問題解決に導く方法があるでしょう。「よくある質問」から問題が解決することは少なくないですし、サポートデスクへの入電を減らすこともできます。
解決までのやりとりを少なくする
メール、電話、チャットなど、顧客が選択した最初のアクションで問題が解決できることが望ましいです。1往復のメール1回の電話で解決することができれば、顧客の負荷を減らすことができます。
ウェブ上でFAQを読んでもわからず、画面上で誘導されたチャットで質問するとFAQのURLが表示されたり、コールセンターへの問い合わせに誘導されることは少なくありません。顧客の最初のアクションに見えても、実は2番目や3番目のアクションのあとである可能性もあるのです。いかに少ないやりとりで解決できているか、注意を払う必要があります。
最適なCRMシステムを導入する
コールセンターも同様です。コールセンターに電話した時点では、すでに顧客はストレスを感じている可能性があります。にもかかわらず、なかなか電話がつながらなかったり、他の部署へのかけなおしを案内されたりすると、顧客はさらなるストレスを感じるだけではなく、離反につながる可能性さえあります。
顧客の負担を軽減するには、最適なCRMシステムの導入が必要です。メール、電話、チャット、SMSなど複数のチャネル間での問い合わせ履歴の一元化は、複数チャネルで運営するコールセンターでは必須のシステムでしょう。
まとめ 顧客の立場で
いかがでしたか。今回はCES(カスタマーエフォートスコア)についてご紹介しました。CES改善のためには、アンケート収集と分析、改善というすべてのプロセスにおいて一貫した顧客視点でのアクションが必要です。
デコールCC.CRM3は、過去の問い合わせ履歴を踏まえた、顧客にとってストレスのないスムーズな対応を提供できます。また、顧客を自己解決に導くFAQの作成支援との連携も可能。企業のCES改善のニーズにお応えします。